2010年09月22日

神々の黄昏

ついに「ニーベルングの指環」の最後、「神々の黄昏」です。

上演は日曜日の19日17:30から。でも4時間半もあるので終了予定時刻は23:30。

前日のジークフリート役はイマイチでしたが、本日もジークフリートは超重要な役。
今日もやっぱりイマイチなのかなぁ、とあんまり期待せずに劇場にやってきました。
座席は今日も同じ一番前の右側です。

ただ、もしかしたらもしかして・・・と私の心の中にはある思いが。

当日の電光掲示板によるキャスト紹介を見ると、やっぱり!

ジークフリート役が代わっていました。昨日のジークフリート役の人、降りたんや・・・。

代役は、2日目の「ワルキューレ」でジークムントを演じたランス・ライアン(Lance Ryan)さん。
正直、代わってくれてああよかった!という気持ちでした。

DVDでの予習の段階では、実は一番興味が持てなかったのがこの作品。だって長いんですもの。

しかし、結果としてはこれが一番良かったのです。

序幕のブリュンヒルデとジークフリートの二重唱も華やかでした。
横綱みたいな体型のブリュンヒルデがジークフリートの上に覆い被さった時は大丈夫かと心配しましたが。(^^;

途中に入るオーケストラの「ジークフリートのラインの旅」と「ジークフリートの葬送行進曲」も
さすがにド迫力でむちゃくちゃ感動しました。

そして合唱。またまた演出がヒトラーの山荘チックでした。ナチっぽい軍の旗まで出てきたし。


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休憩の様子です。一応このように軽食やドリンクを頂けるスペースはありました。
この時も、「いや〜、何やかんや言って実は今日のが一番ええんちゃう?」と夫と盛り上がり。

そしてそして、私にとって一番良かったラストの演出。

「神々の黄昏」のラストは、ブリュンヒルデ役がいつまでもいつまでもソロで歌い続けて終わるのですが、
予習ではあんまり真剣に聞いていませんでした。

が、今回の演出ではスルスルと幕が下りてしまい、ブリュンヒルデは幕の前で一人歌い続けるのです。
これがいわゆる有名(らしい)「ブリュンヒルデの自己犠牲」といわれるヤツです。

余計なことを一切せずに歌一本で惹きつけるという演出は逆に迫力がありました。
もちろん、その間に舞台転換をするという狙いもあるでしょう。

ブリュンヒルデ役は長時間歌いまくった最後にこの長いソロの絶唱が待ち受けているので、
ややもすれば、スタミナ的に声が疲れてくることもあるかも知れません。
しかし、歌手の真後ろに幕が下りているので声が前によく通り、十分聞き応えがありました。

この部分はよく考えてるな〜、と感心しました。

迫力のブリュンヒルデ役のキャサリンさんは、どちらかといえばキレイな細めの声で、鬼気迫るような
ものすごい絶叫系ではないのですが、それでも立派に最後まで歌い切っていました。
やはり、見た目の感じからして可愛らしい乙女の役より迫力系か。(あくまでも体型だけの話ですが。)

そして最後の最後に幕が開くと、舞台ではジークフリートの亡骸を燃やすための本物の火が燃え盛っていて、
ブリュンヒルデは自分もその中に入っていって身を投げる・・・という感動のラストです。

この日はさすがの迫力だったので、オーケストラが静かにフェードアウトしていくラストもフライングの拍手はなく、
観客は見事に最後までシーンと静まり返りました。

そして大きな歓声と拍手。ああ、4日間頑張って通って見た甲斐があったわぁ。(涙)


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超盛り上がりのカーテンコール。代役ながらライアンさんも頑張りました。
昨日よりずっと良かった。昨日のジークフリートの「鍛冶の歌」もこの人で聞きたかった・・・。

全然カンケーないのですが、このライアンさんって随分とダイエットされたみたいですね。
プログラムの顔とご本人が「誰?」っていう位どう見ても別人なのです。

「ワルキューレ」の時も、彼が英雄の役ということで、ブログラムに載っていたデブい顔を見てガッカリでした。
しかし、ご本人が出てきた時にはホッと胸を撫で下ろしたのでした。

私の撮った上の写真とライアンさんの公式サイトの表紙の写真をぜひ見比べてみて下さい。ホンマに違います。

 *ランス・ライアンさんの公式ページ → http://www.lanceryan.com/


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メイン・キャストの方々。
左から2番目の迷彩服の東洋人は、グンターを演じた韓国のサミュエル・ユンさんという方。


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そして最後に今日の主役、ブリュンヒルデ役のキャサリン・フォスターさんが登場。
やはり飛びぬけて大きな歓声が上がって大人気でした。昨日とはえらい違いの満足度。
ちなみに、この写真はまだ本物より痩せて写ってます。

そして次のカーテンコールになると・・・

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オーケストラの方々が登場。4日間こんな鑑賞マナーの悪い中、本当にお疲れ様でした。


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最後は指揮者も交えてのカーテンコール。

終わり良ければ全て良し。生の迫力をいっぱい堪能させて頂きました。

しかし、やっとワーグナーから開放されると思ったのに、逆に頭から離れなくなる始末。
ワーグナーの音楽は不快感いっぱいなのに気になってしまうという、麻薬みたいなものかも知れません。

上海での「ニーベルングの指環」4日間公演は、20日の一日だけの休みを空けてもう1サイクルあります。
つまり、昨日からまた始まっているのです。今日は「ワルキューレ」です。

私が今気になっていることは、ジークフリート役を降板したスティグ・アナセンさんが自分から降板したのか、
あるいはメンツをかけている上海側からの圧力で降ろされたのか、ということです。

今回は単なる公演じゃなくてあくまでも上海万博の企画ですから、失敗は絶対に許されません。

明日とあさってのジークフリートを誰がやるのかも気になるところです。
ランス・ライアンさんに代わるとしたら、ライアンさんは、「ワルキューレ」のジークムント役から
3舞台連チャンというものすごいことになりますが、そんな死にそうなツライ配役って普通にあるんでしょうか。

アナセンさんが再起をかけて出てきてまたブーイング受けたら、それはそれでまた可哀想やし・・・。

と、色々思いを巡らしつつ、結構しんどいながらも面白かった初のワーグナー体験でありました。
posted by サラミ at 18:14| Comment(0) | TrackBack(0) | お出かけ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月20日

ジークフリート

3日目(ワーグナーの言う第2日)は「ジークフリート」です。

この演目、大変紛糾しました。

ジークフリートは4時間もある長い演目です。
主役のジークフリートは、最初から最後まで出ずっぱりで4時間歌い切らなければならないという超難役です。

今回のジークフリート役はStig Andersenというデンマークの人でスティグ・アナセンと発音するそうな。
どんな人が歌うのか非常に楽しみだったので、事前にこの人のことをチェックしていたのですが、
相当なベテランさんのようで、この歌手の紹介記事や個人のブログを見ても評価はとても高かったです。

ただ、年齢が今年60歳ということで、スタミナ的に大丈夫なのかと思いましたが、
去年の評価で「59歳とは思えない!」と絶賛されていたので、今回は上海万博の企画でもあるし、
それなりに有名な人のキャスティングなのかな、と思っていました。

が、フタを開けてみたら、声が全然通らない。キレがない。

舞台袖から声だけ聞こえるシーンでは、字幕がなかったら歌っていることに気づかないほど
全然聞こえませんでした。

私達の座席が前過ぎるというのもあるのですが、他の歌手の声と比較するとやっぱり曇りがちです。

第一幕でジークフリートが鍛冶に取り掛かるところでは、演出がとても凝っていて見ごたえはあったのですが、
楽しみにしていた「鍛冶の歌」がリズムに乗り切れず音楽より遅れがちで、なんだかガッカリ。
演奏はゆっくりめだったのにも関わらず、です。あんなリズミカルな歌なのに。

大体、鍛冶のシーンだからといって、歌いながら大きな鉄板を上下に大きく振り上げて顔の前で仰ぐ動作とか、
それでなくても歌い切るだけで大変なのに、そんな体力を奪うような余計な動きは要りません。
それに、顔の前にモノがあると声が遮ぎられる!演出家がでしゃばり過ぎ。オペラはただの演劇じゃないのだ。

ということで、アナセンさんは、横を向いてもちょっと後ろに下がっても、声が霞んでしまいました。
確かに還暦にしては若くてキレイな声だと思うんですが、聞こえないってのはもう論外かと。

この日だけ調子が悪かったのか、もう年だから声が出ないのかは私には分かりません。

今回の予習DVDは1980年バイロイト音楽祭の時のもので、この時のジークフリート役の人が
ものすごくキレのある声で良かったので、この人が基準になってしまったのも大きいかと思いました。

ただ、やっぱり第一幕を終わった直後に夫と二人して思ったのは、

この人の声は3階まで届いているんだろうか?

ということでした。

それ以外の、ちょっとコミカルな悪役のミーメや引き続き登場のヴォータン(さすらい人)は良かったです。
思うに、ミーメという役は憎めない役どころで、きっと誰がやってもそれなりに評価を受けるのでしょうね。
ラスト・サムライの渡辺謙みたい。
(渡辺謙の演技は良かったんだけど、役柄的にきっと別の人がやっても評価を受けたと思う、という意味で。)

ということで、ジークフリート役がイマイチだともうどうしようもなくなるこの演目。
聞こえないと眠くなってしまいます。

後の楽しみは、巨大な龍が出てくるシーンで一体それがどうなるかという演出と、
最後に目を覚ますブリュンヒルデのソプラノとジークフリートの二重唱の出来がどうか、というところですが、
ジークフリートがソプラノに声で負けるのは目に見えているので、なんだか楽しみは一気に薄れてしまいました。

巨大な龍の登場は、本来は巨人族が変身して龍になっており、ジークフリートに倒されて元の巨人の姿に戻る
という設定なのですが、今回の「ラインの黄金」では、巨人族がただの建築現場の人になっていたので、
龍がやられた途端に作業着姿のおじさんに戻るのもヘンだし、どーするのだろう?と思っていました。

今回の演出では、なんとステージの上から巨大なショベルカーのショベルが襲い掛かってきました。おおっ!
なるほど!建築現場の人だから変身の姿はショベルカーか。で、あれが龍なのですね。
分かったような分からんような。現代のオペラの演出は、あんまり深く考えてはいけないようです。

そしてついにブリュンヒルデが目を覚ましました。歌は「ワルキューレ」の時と同じキャサリン・フォスターさん。
背も高くてかなり太っておられるキャサリンさん、演技はあまり得意には見えません。

歌っている時の姿が仁王立ちで、体型的に仕方ないのでしょうがドスドス歩くし、迫力のお腹です。
愛に目覚めた可愛い女性というより皇帝ペンギンみたい。両手の演技はもう少しどうにかならんのか。
声は比較的クリアで聞きやすいのですが、だんだんオシム元サッカー日本代表監督に見えてきてしまいました。

最後の二重唱はというと、やっぱり二人の声量のバランスが悪い。そして座席が前なので演奏の音がデカい。
一番前に座っていた私の右横の人々は、みんな途中で帰ってしまいました。

隣の男女はどう見ても自分でチケットを買ったとは思えない。喋るし笑うし、うっとうしい。帰るくらいなら来るなよ。

私の右側で最後まで一人残ったおばちゃんはスルメを食べだしてすごい匂いが充満してました。

隣の男女がいなくなった後、スルメおばちゃんが私の隣に移動してきたので、スルメ臭くて嫌でした。
しかし、スルメおばちゃんも二人の二重唱が何をやってるか分からんかったみたいで、歌の途中で帰りました。

あと、たまにフラッシュ焚いて写真を撮るヤツがいます。百歩譲ってせめてフラッシュ消せっつーのに。


そんなこんなで全部終わって、やっとカーテンコールです。


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ブリュンヒルデとジークフリート。「純真無垢で無邪気な英雄」の役がそんなにお腹出ていていいのか。

実は、今回は上海万博の企画ということもあり、客席にはサクラがいるような気配なのです。

とにかく指揮者が登場しただけで喝采が起きる。(まだ演奏始まってないのに。)
演奏が終わったら、良し悪しに関係なくウォーとかブラボーとか叫びまくるおっさん(たまに女性も)がいる。

一番ウケたのは、「好!(ハオ=Good)」と言う掛け声。京劇かい。(^<>^;
いや、これが本当に良かったと思って素直に出た声ならいいんですよ。歌手も喜ぶでしょう。
だけど、今日のこの出来のイマイチな舞台でもこの声が出るということは、

やっぱ何も分かってなくて拍手喝采送ってるな。

と思いますね。ハオ!と言っている人は、この企画を成功させるために送り込まれたとしか思えません。
あるいは、実はめちゃくちゃ売れ残ってて最終的にチケットをタダ同然にバラ撒いた可能性も高いかと。
あと、演出に本物の火を使ったりしているので、そういうのがよく分からんけどスゴイ!と思っての喝采かも。
要は多くの人はワーグナーなんて分かってないのです。(もちろん好きな人もいるでしょうが。)

ところが、です。

脇役の人々に対する暖かい声援とは打って変わって、主役のアナセンさんに対して激しいブーイングが!
2回目のカーテンコールでもやっぱりアナセンさんにだけ激しいブーイング。

初めて体験しました。生ブーイング。きっとオペラ好きの外国人の観客だと思います。


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それでも笑顔のアナセンさん。(右から3人目)

安くないお金を払って見に来ているのだから、ブーイングも当然だとは思います。
ただ、日本人の私は拍手をあんまり熱心にしない程度が限界です。
観客レベルの低い中国くんだりまで来てブーイング受けるなんて、なんと気の毒な。
出来はイマイチだったにも関わらず、アナセンさんが可哀想で心が痛みました。

個人的には一番右のさすらい人(=ヴォータン)役のグリア・グリムズレイさんが良かったです。
彼の出番はこの日で最後。大きな声援に、本人もやり切った感いっぱいの表情でした。


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そして今日も元気な指揮者のマルクス・シュテンツ氏。観客の声援も盛大です。

今日は18:30開演、23:50終了。お昼まで寝たのにヘロヘロです。

そういえば、着物姿の女性を一人見かけました。よくぞこんな長時間頑張れるものです。

日本から鑑賞ツアーで来ている日本人も僅かながらいるはずですが、夫と二人して、
オペラだけを目的として海外に行くのは危険だな、と結論づけた今日の公演でした。
posted by サラミ at 19:06| Comment(4) | TrackBack(0) | お出かけ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月19日

ワルキューレ

引き続きオペラの日々です。19日で完結。

さてさて、「ラインの黄金」に続き、「ワルキューレ」を見てきました。

上演は18時半からで、17日の「ワルキューレ」はみなさん仕事終わりで駆けつけるので大変。
夫はタクシーがつかまらず、何と職場からバイクタクシーで会場までやってきて私と合流。
私も金曜の夕方でタクシーがつかまらず、地下鉄で来たら出口から遠くて開演前にすでに死にそうでした。
なんたって少しいい服を着てますから、長距離歩くことを想定していない靴を履いてますしね・・・。


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今回は一番前ながら右側に移動。ちょっと端になっちゃいました。舞台も右横から見る感じ。


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この写真には写っていませんが、オーケストラはチューバとか大音量の金管楽器が目の前に。
おかげ様で、「ワルキューレの騎行」(映画「地獄の黙示録」で有名なあの音楽)の時には
ありえないド迫力で旋律が迫ってきました。オーケストラとしては音のバランスむちゃくちゃなんですが。


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観客の方々は相変わらずラフな服装が目立ちます。一番前でも半ズボンとかサンダルとか。
ちなみに、次の「ジークフリート」上演の土曜日はドレスアップした女性が増えました。休日だからでしょうか。


さて、「ワルキューレ」の内容ですが、演出の方は「ラインの黄金」で見慣れたせいもあり、
ラインの黄金より人間の登場が多くてファンタジー度は下がるので違和感はもう消えました。
ただ、神々は「普通の服を着た神々」なのか、前日に感じた「人間という設定」なのかは最後まで謎のまま終了。


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これは最後のカーテンコールの写真なのですが、最初のフンディング(という登場人物)の館のシーンは
野営テントで、このフンディングの部下らしき兵士達が本物のジャーマン・シェパードを引き連れて
テントの周辺を巡回していました。

演出家が意図しているのかどうか分かりませんが、ドイツということで私にはどうしてもナチに見えました。

重要な役どころの神々の長ヴォータンは軍の偉いさんという設定のようで、軍服を着ています。
家の中は普通のインテリアですが、多分これがワルハラ(お城の名前)の中なのでしょう。
これが冒頭のナチの連想から、去年旅行で行ったケールシュタインハウスというヒトラーの山荘みたいで。
実際、ベルクホーフという山荘あたりには本当に似ているような気がします。
ま、ここまで勝手に想像する人は私くらいでしょうが。(^^;


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こちらはブリュンヒルデを除くワルキューレ役の8名。
中国語で「女武神」というくらいですから、本来は鎧兜に身を固め、盾と矛を持っているはずですが、
どういうわけか小豆色のワンピース。よく分かりません。この中に一人日本人の方がいました。
やはり同じ日本人ということで、えこひいきで拍手にも力が入りました。


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真ん中のカーキ色の服の3人のうち、右の男女はジークムントとジークリンデ。
ジークムント役のランス・ライアン(Lance Ryan)という人が声量もあっていい声で良かったです。
プログラムの写真よりも痩せていて顔が全然違ったのだけが謎ですが、英雄の役なので格好良くなるのは◎。

今回の指揮者がテンポのメリハリをむちゃくちゃ付ける人で、ジークムントが声を伸ばす所でも2回ほど
ものすごーく引き伸ばしたので、声を延ばしてる途中からジークムントの顔がどんどん赤くなっていき、
見ていて「窒息死するんちゃうか!?」という位に苦しそうでしたが迫力いっぱいで歌いきっていました。
ものすごく殺人的な指揮だと思いました。死ななくても気を失う位なら実際に起こりそう。

一方ジークリンデ役の人は、悪くはないって感じかな。楽しみにしていたフレーズで音を外したのだけが
残念でした。

二人とも迷彩ズボンの軍服姿でした。やっぱりよく分からん。

カーキ色の服の3人の一番左が神々の長ヴォータン。
今回はやっぱり主役なので、ラインの黄金の時よりも気合が入っていた感じがしました。

ヴォータン役はグリア・グリムズレイ(Greer Grimsley)という人で、ものすごく頭が小さい。
その小ささを例えるならヒュー・ジャックマンか。体もスマートだし舞台映えはイマイチかと思ったら、
その歌と演技で線の細さなんて吹っ飛ばしてくれました。バリトンのいい声でした。
夫は最初そんなに好きではなかったみたいですが、私はいいと思いました。

最後のヴォータンと娘のブリュンヒルデの別れのシーンでは、歌が胸に迫ってきて、ウルッときました。
こういう泣き所は中国の方にもジーンと来る所なので、ハンカチを握り締めている人もいました。

一方のブリュンヒルデ役のキャサリン・フォスターという人も、軽々と難役をこなしている感じで、
絶叫系ではなかったので聞きやすかったです。有名な「ハヤトホー」と歌う所もえらくあっけらかんと
音も外さずに歌ってしまい、それで終わりかい、くらい拍子抜けでした。

さすがにあれだけの声を出すには体型もモノをいうのでしょうか。
他のワルキューレとは声量が全然違って圧巻だったのですが、体の厚みも他の人の2倍ありました。

その他、ちょっと不満は、一番最後の演奏のテンポがトロかったことでしょうか。
好き嫌いの個人差はあると思いますが、もうちょっと早い方が私はスッキリします。
遅い方が、ワーグナーが曲のあちこちに散りばめたライトモティーフ(短い旋律)が
ハッキリ浮き上がって聞こえるのかも知れませんが、でもなあ・・・。

そういえば、ラインの黄金の冒頭もえらいゆっくりでした。
だけど、トータルすると、演奏は通常より早く終わるんです。ということは、速い演奏の時には普通よりも
さらに速く演奏しているということですね。そういや、どんな速いねん、という部分もありましたね。

今まで指揮者の違いって全然分からなかったのですが(小澤征爾とか見ておきながら失礼なのですが)、
今回はさすがに私でも分かるほどの違いでした。

ちなみに、ケルン管弦楽団の演奏そのものはうまいと思います。


そうそう、不満がもう一つ。

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先ほどの写真の再登場ですが、これ、幕が下りてきているのが分かるでしょうか。
カーテンコールでの盛大な拍手喝采(どうもサクラがいるような感じがします)の中、
まだ出演者が前に出ているのにスルスルと幕が下りてきて、みなさんビックリして小走りで後ずさってました。

幕を下ろすのはもちろん舞台の裏方の中国人でしょう。せっかちにもほどがある。

一番アカンのが、ラストの静かな曲の終わりに、というか終わってなくてまだ演奏してるのに、
(多分ほとんど中国人だと思われる)観客が拍手し出したので曲が最後かき消されてしまったこと。
その辺の信号無視と同じ感じのフライングにイライラしました。

お前らやっぱり全然聞いてないやろ。

と今回も思ったのでした。

今日の演奏終了は23:30。こちら観客も体力勝負です。
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2010年09月17日

ラインの黄金

見て参りました。ニーベルングの指環の序夜「ラインの黄金」。

今回は夫の気合の入りようもあって、一階の一番前の席で、ちょっと左。


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オーケストラピットが目の前なので、演奏の様子も見ることができました。


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この通り、座席のスペースが狭い上海大劇院にあっても、一番前は足元がガラ空きで助かりました。
なんたって、このオペラ、2時間半もの間休憩なしなのです。

世界中にワグネリアンと呼ばれるワーグナーの熱狂的ファンがおられますが、
私はワーグナーが一気に嫌いになりました。だって偉そうやねんもん。
天才ワーグナー様の音楽を聞け!」みたいなオーラが。
人間の体力っつーもんを考えましょうよ。歌う人も演奏する人も大変ですよ。

とはいえ、予習の段階で「スタートレック」のイメージから抜け出せずに苦戦していたこの演目ですが、
演出の奇抜さもあって、最後まで聞き通すことが出来ました。

しかし、ここは上海。やはり何も知らず、タダ券をもらったのか、はたまた演劇でも見に来る感覚だったのか、
予備知識なしで鑑賞に堪えうる内容じゃないことを知らなかった中国人達は、インターバルなしにも関わらず、
第2場と第3場の間の演奏中にバタバタと結構な人数が帰っていってしまいました。

ここにオペラを聴きに来たのは、先月の「ラ・ボエーム」以来。
前回の時とは違い、今回は日本からもツアーが組まれるほどの目玉商品なので、
ドイツ人が多いのかな、正装率高そうだな、華やかそうだな、なーんて想像していました。

が、全部裏切られました。

一番前に座ってるおっちゃん、むちゃくちゃラフな格好やん。

ちなみに、サラミ夫婦はキチンと正装で行きましたよ。

なんか、上海大劇院はアカンなあ、という印象です。政府が絡む公演が多いんじゃないでしょうか。
どう見てもチケットを貰って見に来ているとしか思えない人が多いです。

・ありえない箇所で笑いが起きる。(←字幕見ながら初めて見る人が多い上に笑いのツボが謎。)
・演奏開始直後に携帯が鳴る。
・隣の女が上演中に携帯メールを送っている。(←1番前の席ですよ!?)

日本からツアーで来た人は面食らったでしょうね。中国公演の値段の安さの秘密はココだと思います。

やっぱオペラの王道は浦東の東方芸術中心に来るのでは。アチラの観客は中国人も比較的ビシッと正装です。
思えば、ホセ・カレーラスも小澤征爾も東方芸術中心で見ました。

さて、肝心の内容ですが、サラミも夫も演出がイマイチ好きになれません。
今どきよくある「現代置き換え版」なのですが、ただ置き換えればいいのかい、とツッコミたい。

華やかな王様とお姫様の話を現代のスーツ姿の男性とワンピースの女性にするなんてのはよくありますが、
今回はギリシャ神話や北欧神話などをベースにした神々のお話なので、それを人間にしてしまうのは
ムリがあると思うのです。呪いだとか、人間世界にはありえないし。

「ニーベルングの指環」は複雑なストーリーで、双子同士とか叔母と甥っ子などの「近親相姦」なんてものが
よく出てきます。それは、人間ならタブーなものがなので許される、という含みがあるのでして、
(実際、ギリシャ神話なんかには近親相姦はよく出てきます)
それを、人間でやってしまうと、単に気持ち悪い話で終わってしまうと思うのですよ。

演出はロバート・カーセンという人だそうで、演出では有名な人だそうです。実際天才と言われてます。
でも、演劇やミュージカルではいいかも知れないけど、今回はどやの???とちょっと思いました。
部分部分は素敵な演出が色々ありましたが、そもそもの根本的な解釈がどうなんでしょう。

分かりやすく現代の話にしたのなら、もうタダの醜悪な犯罪ストーリーでしかないような気がして・・・。

ニーベルング族がアルベリヒにこき使われる第3場では、地を這って働くニーベルング族役の中国人エキストラが
カーキ色の人民服みたいな汚れた服にこれまた人民帽みたいな帽子を被っていたので、私だけでしょうが、
文革で地方に下放されて強制労働してる人に見えてしまいました。(私の感性が歪んでいるのか?)

歌手のみなさんはそれぞれ頑張ってました。個人的な好き嫌いはありましたが。
ただ、座った場所がえらい前だったので、オーケストラと歌手の音のバランスは若干悪かったと思います。
オーケストラに声がかき消されることも時々ありました。逆に、こないだの「ラ・ボエーム」の時の3階席の方が
音のバランス的には良かったかも。でも、ものすごく近いので、バリトンの巨人さんなど迫力はありました。

あまりに近くて、照明がものすごく明るいシーンでは、歌手が激しく歌う時に1メートルくらいツバが
飛んでいるのが肉眼で見えて仰天しました。最後「t」で終わる音の時などが特にすごくて、

ドイツ語ってなんぼ唾が飛ぶ言語やねん・・・

とか思ってしまいました。

最後の「神々のワルハラへの入場」のシーンは荘厳でした。
背景も美しかったので、中国人からも盛大な拍手喝采が送られていました。

ただ、歌手達に続いて中国人エキストラの軍人らしき人々も足を高々と上げて行進して入場していくのですが、
それがあまりにもバラバラで下手だったので、思わず人民解放軍にやらせたら良かったのにと思って
しまいました。


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一番最後のカーテンコール。写真から想像して頂けると思いますが、全体的に殺風景な舞台でした。

2時間半も音楽の切れ目なしで、演奏者も歌手も観客も大変ですが、何より一番すごいのはこの指揮者です。

私の席からは指揮者もすぐ近くに見えていたのですが、ずっとタクトを振りっぱなしのマルクス・シュテンツ氏は
もう人間技を超越していると思います。2時間半腕を上げたままの人間って一体どうなるのでしょう。
なーんて、演奏とはかけ離れたところに思いを寄せてしまう初心者サラミでありました。

今日は序の口。序夜というくらいですから、こんなに長かったくせにあくまでも前置きです。
明日の夜の「ワルキューレ」は、歌も演奏も聴き所満載!むちゃくちゃ期待したいと思います。
posted by サラミ at 03:42| Comment(0) | TrackBack(0) | お出かけ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月08日

屋根の修理

ベランダから外を眺めていたら、近所で屋根の修理をしているのを発見。

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その屋根よりも、もっと優先的に修理すべき屋根が目の前にあるんちゃうか?

特に、一年中水が干上がらない手前の屋根は思いっきり斜めに傾いてるし、家の中カビだらけなのでは?
ボコボコの屋根も、屋根として機能しているのかどうか疑問です。

ついでだから、あともう2つも修理してあげたらいいのに。(ってムリか。)

相変わらずの上海です。
posted by サラミ at 12:45| Comment(4) | TrackBack(0) | 街の様子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする